婚活を続けていくと、時に特殊なケースに遭遇することがあります。
アラサー、アラフォーにもなると人生経験もそれなりに長くなりますので、その間ごくまれに、婚活相手が双子、というケースに出会うこともあります。
事実、この双子の婚活相手に出会ったAさんの苦労話があります。
今回のケースはAさんが男性であり、婚活相手Bさんが女性でした。そして、そのBさんは一卵性の双子でした。
婚活初期の段階では、さすがにそこまで身の上話はしないものです。最初は表面上の話で、たとえば仕事の話、趣味の話など無難な話題を繰り返して少しずつ仲を深めていったAさんと婚活相手Bさん。思いのほか会話も弾み、Bさんの容姿も悪くなかったため、AさんはBさんのことをすっかり気に入ってしまいました。Bさんの方もAさんのことを悪くは思っておらず、婚活はうまく進んでいました。
そんな状態でその日も二人はデートを楽しんでいました。Aさんはそろそろ本格的に恋人同士としての付き合いを始めたいと考えていました。そのデート中、急にBさんに電話がかかってきました。今までは遠慮してデート中に電話に出ることはしなかったBさんですが、ずいぶん二人の関係も打ち解けてきていたことから、Aさんにこう切り出しました。
「双子の妹からなの。電話出てもいい?」
Aさんはそれまで、Bさんが双子という事実を聞いていなかったので多少驚きつつも、快く電話に出るように勧めました。
Bさんは楽しそうに双子の妹と電話をして、数10分後には電話を切り、Aさんに謝りながらデートに戻りました。
その後、デート中に同じようにBさんは妹と電話をするようになりました。そもそも、Bさんは双子の妹と電話をするのが日課となっており、色々な情報を二人で共有しあうくせがあったのです。
特にそれが悪いことではありませんが、Aさんはさすがにその度が過ぎるところが気になってはいました。ただ、やはり自分にはわからない双子の絆というものがあるのだろうと理解しようとしていました。
二人はその後付き合いはじめ、いよいよ同棲、結婚もという段階まできました。
そんな時にBさんがAさんに言ったことは、
「妹がまだ相手が見つかっていないから、私だけ家を出るわけにはいかない」
ということでした。Bさんは妹と同居しており、二人暮らしでした。結婚はしたいし同棲もしたいが、それなら妹も一緒に、とBさんは言うのです。さすがにBさんの妹との同居は考えていなかったAさんは困ってしまいました。事情はわかるが、やはり二人で暮らしたいと申し出たところ、Bさんはそれなら付き合い続けることはできない、と言い切ったのです。
Bさんは、Aさんとのつながりよりも双子の妹とのつながりをとりました。生まれてからずっと一緒に育ってきたかけがえのない双子の妹。一卵性なので同じDNAを持つ存在です。そんな双子の妹の存在に、Aさんは負けてしまったのです。
つまり、相手がもし万が一双子だという特殊なケースに当たった場合、とにかく相手の双子の兄弟姉妹とのつながりを甘く見ないということです。誰よりも強力に結びついている双子の一方を軽視することは、もう一方を軽視するのと同じことです。
これは一卵性双生児に限らず、二卵性の双生児でも一緒です。とにかく生まれた当初からずっと一緒に育ってきたという特殊な成長環境が、欠かすことのできない存在として双子のもう一方を認識しているのです。
「私実は、双子なの」
そんな告白を聞いたなら、相手の双子の兄弟に対する思いを尊重し、双子とはそういうものなのだと認識した上で付き合っていく必要があります。ここが理解できないと、双子の相手との付き合いはうまくいかない可能性が高いです。
そうした点は、兄弟姉妹がいる場合にはあまり見られない傾向で、やはり双子特有の結びつきの強さと考えていいのではないかと思われます。
逆を言えば、双子のもう一人をとても大切に考えてあげれば、目の前の相手はとても喜びますし、好意を持ってくれると思われます。普通に考えて自分の家族を大切にしてくれる人を嫌いになる人はそう多くはないと思われますので、まずはそういう基本中の基本を守りながら、相手との付き合いを深めていきたいところです。